私たち坂上ゼミでは、2021年度のゼミ活動の一環として「東京を代表するアート」について調査を行いました。
こちらのページからそれぞれの内容をご覧いただけます。









⒈ 長期的に育まれる東京アートの魅力

東京は日々ダイナミックに更新されていくカラフルな街である。そこではさまざまな流行が生まれ、新しい才能が頭角を表し、それらはやがて全国ときには世界へと広がっていく。都市文化の魅力の一つは、このような目まぐるしいほどの変化であり、またその変化がもたらす高揚感に溢れた新規性だろう。しかし今回の調査で明らかになったのは、このようなメトロポリタン的なスピード感とは距離をおいて、より⻑い時間軸の中でこそ真価を発揮してきたアート作品/美術館/建築の実例が少数ながらも見受けられるということであった。
⒉ 新感覚アート体験 in Tokyo

今回の調査では、東京都内に存在する新感覚アートを探った。コロナ渦において、人々は癒しを求めて、アートの需要が高まった。その結果、様々なところで、「アートを観る」だけではない新感覚な体験とともにアートに触れることができる場所が現れた。それらのスポットを紹介していく。そしてアートを日常から切り離すのではなく、日常の中で楽しむことができるアートの新たな形を追求する。
【「新感覚アート体験 in Tokyo」の調査報告はこちら】
⒊ 時とアート

東京の新しいアートとはなんだろう、と考えた際に、東京の風景を思い浮かべた。すると、街 にたくさん時計があることが特徴ではないか、と気づいた。そこで、東京にある「時刻を表すもの」を多く取り上げることで、時計や時刻を表すものにアート的な要素を見つけることができるのではないかと考え、調査を行うことにした。
⒋ 東京の良さを活かした伝統文化の保存

東京は観光客が多く、歴史のある都市である。そのような良さを活かして、日本や東京の文化発信につながる取り組みこそ、東京を代表するアートと言えるのではないか。そこで、東京をより引き立てるものと日本の伝統文化を掛け合わせ、日本の文化を残そうとするアートに着目し、「東京の良さを活かした伝統文化の保存」というテーマを設定した。
【「東京の良さを活かした伝統文化の保存」の調査報告はこちら】
⒌ 銀座のアート性

東京都中央区銀座。文字通り、東京の中心地の一つであり、古くからの歴史を誇る街・高級ブランド店が立ち並ぶ街・流行を発信する街など様々な顔を持っている。東京都の調査(平成31 年・令和元年度)によると、外国人旅行者が「一番期待していた場所、一番満足した場所」の第1位が銀座であり、その目的を「ショッピング」と答えた人が全体の6割を占めていた。このことから、日本人だけでなく外国人旅行者も「銀座でショッピングをすること」に特別な意義や魅力を感じており、既にGINZA という確立された地域ブランドが存在していることがわかる。
⒍ 新版画の世界で東京再発見

新版画とは、明治後半から昭和にかけて作られた木版画のことを指し、人気が衰退していた浮世絵の特徴を引き継ぎつつ、その近代化や復興を目指したものである。版元の渡邊庄三郎によって東京で事業が始まり、絵師・彫師・摺師の分業体制で作品が制作された。浮世絵とは異なり当初から美術品として評価されることが目指されており、海外のコレクター向けに制作されたという側面がある。
⒎ オリンピックに関連する東京のアート

東京という街の歴史と密接に関わった東京オリンピックをテーマとして取り上げた。戦後昭和の復興を支えた1964年東京大会、そして、コロナ化に開催された東京2020大会。それぞれの時代背景を反映した「東京の代表的アート」であるポスターと都市開発について考察を行った。
【「オリンピックに関連する東京のアート」の調査報告はこちら】
⒏ 日常に溶け込むアート

アートと聞くと、美術館や展覧会にわざわざ出向いて鑑賞するというイメージが一般的にあると 私たちは考えている。しかし、私たちが生活する東京には誰でも見に行ける、生活する中で目に入る場所にあるアートが多数存在している。普段生活する中で私たちは意識していないだけでアートに日常的に触れているのである。このような「日常×アートの融合」を日常に溶け込むアートと考え、本発表を進めていく。
⒐ 負の記憶をたどる

私たちは、東京を代表するアートを探すなかで、その土地で昔一体何が起きていたのかを伝えてくれるアートこそ、その地を代表するアートと言えるのではないかと考えた。そこで、東京に今もなお残る戦争の傷跡を美術作品や建築を通してたどっていき、そこに込められた意図や、それらの役割について考察することとした。