【学部】秋合宿

名古屋合宿(2022/09/07-2022/09/09)

第13期ゼミ秋合宿は、2泊3日で名古屋を訪れました。

今回は「国際芸術祭あいち2022」を訪れたほか、名古屋市内の美術館、建築、街並みにかかわる調査を実施しました。

芸術祭については、愛知県美術館学芸員で本展を担当した由良濯氏に各会場の案内をしていただき、解説を聞きながら見学しました。街並み・建築については、グループごとに芸術祭の会場である有松地区、一之宮地区、久屋大通公園などを見学しました。

「国際芸術祭あいち2022」では「STILL ALIVE」がコンセプトになっており、過去、現在、未来という時間軸を往来しながら、美術の表現を通して不確かさや未来の世界、多様な価値観、圧倒的な美しさと出会うことで、ポストコロナの時代にいかに理想的な未来を創り上げていけるのかについて考える機会が提供されていました。

【1日目】

1日目は、全体で愛知芸術文化センターにて、担当学芸員の由良濯氏から解説を聞きながら、展示作品を鑑賞しました。

特に印象的だった作品は、ローマン・オンダックの≪イベント・ホライズン≫というスライスされた丸太が壁に掛けられている作品でした。1917年から2016年までの出来事が記されており、丸太は会期中、1日1枚壁に掛けられ、最終的に100枚が壁に並ぶという作品でした。月面着陸や第一次世界大戦など、改めて人類史を振り返り、考えるきっかけになりました。

その後はグループに分かれ、筆者のグループは「文化のみち」を訪れました。

「文化のみち」は名古屋城から徳川園に至る地区で、築城以来の名古屋の文化、そして明治以来の近代化の歩みを伝える歴史的な遺産の宝庫となっており、以下を訪れました。

・名古屋市市政資料館

・旧春田鉄次郎邸

・旧豊田佐助邸

・橦木館

・文化のみち二葉館

・文化のみち百花百草

・名古屋市四間道町並み保存地区

大正・昭和レトロな建築は木造建築と、レンガや白壁の融合が特徴的でした。「文化のみち二葉館」の中は、ステンドグラスや螺旋階段、アンティークな家具が置かれていました。洋風な雰囲気の中に畳やふすまが残っているなど、近代化ならではの和洋折衷な違和感が面白かったです。

また、旧豊田佐助邸は洋館と和館が併設する大正時代に流行した特徴的な建築でした。天井にはおめでたい象徴である”鶴と亀”を「とよだ」の文字で描いたマークがありました。洋館だけで19個のマークが存在するそうで、見つける楽しさもあると感じました。

名古屋市公式noteより引用

1日目は、現代美術から、大正・昭和レトロな建築、街並みに触れることができました。夜ご飯には名古屋のご当地名物である「矢場とん」の味噌カツ丼を頂きました。

【2日目】

2日目は一宮会場で展示作品を観た後、グループ行動、その後集合し、ヤマザキマザック美術館に訪れました。

奈良美智さんの作品は旧名古屋銀行一宮支店であり現在イベント用に多目的ホールとして再生したオリナス一宮で展示されていました。また、「魂がふるえる」展で有名な塩田千春さんの作品は、旧一宮市立看護専門学校で展示されていました。他にも廃スケート場が展会場となっていたり、使われなくなった施設を展示会場としている地区でした。

奈良美智さんの作品は、高い天井を活かすことで、作品への照明の当て方にこだわることができたと伺いました。

また、塩田千春さんの作品は、看護専門学校での展示ということで、生死と隣り合わせである「看護」と、彼女のテーマ(ガン闘病の経験から生と死をテーマにした作品を多く持つ)がマッチした作品が数多く並べられていました。

アーティストの方々の様々な施設の活かし方が見えた会場でした。

その後のグループ行動では、以下を訪れました。

・名古屋城

・大須観音

・大須商店街

名古屋城の中には入れませんでしたが、徳川家康の偉大さを物語る広い敷地と天守閣、天守閣に繋がるそり立つ石垣は圧巻でした。

入り口の赤い大きな提灯が特徴的な大須商店街は、家電屋から古着屋、多くの飲食店が立ち並び人でにぎわっていました。みんな仲良くカフェでおしゃべりしている様子が見て取れ、地元の人に愛されるサブカルチャーの街のように感じました。

その後、ゼミ全体で『ヤマザキマザック美術館』を訪れました。

『ヤマザキマザック美術館』は、ロココの時代から、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派、そしてエコール・ド・パリといった18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れが一覧できるのが特徴です。

本美術館では展示にもこだわりが見られました。

例えば、ロココの時代は背景が赤色、印象派は黄色といった具合に作風を際立たせる工夫がされており、絵画展示室は、それぞれの作品の時代様式にふさわしい内装素材が使われていました。

単なる絵画の展示だけでなく、その時代の雰囲気も味わえる展示となっている点に大きく惹かれました。

【3日目】

3日目は有松会場で展示作品を観た後、グループ行動を行い各自帰宅しました。

3日目の見学の会場となった有松地区は名古屋市南東部に位置し、現在も江戸時代の浮世絵さながらの景観が東海道沿いに広がっているのが特徴です。

そうした街並みを活かしたアートが特徴的でした。

例えば以下写真(1枚目)の作品はユキ・キハラによるものですが、サモア最古の伝統工芸のひとつであるシアポに、現代のサモアが直面する文化、環境、社会経済の諸問題が描かれた作品です。

この作品も展示室である和室の雰囲気とうまく調和している点が印象に残っています。

また、一方以下写真(2枚目)の作品はミッド・ジャイインによる『ピープルズ・ウォール』ですが、有松地区の城下町に彩りを沿え、街自体の景観の一翼をなしています。

こうしたアートに触れることで、有松地区の雰囲気と、有松だからこそ生まれたアート空間の魅力を堪能することができました。

その後は各グループで行動しました。

筆者の班では名古屋港方面を散策し、海辺の街の造りを調査しました。

名古屋港周辺の街並みは日本最大級の水族館である『名古屋港水族館』を中心に作られており、水族館を訪れる人の賑わいと、港町としての静けさがうまく調和されている印象を受けました。

また、多くの緑があるのも印象的で、観光地としても居住環境としても、

皆にとって過ごしやすい街づくりが意図されていると感じました。

【さいごに】

3日間のゼミ合宿では、名古屋の街並みとアートを合わせて学ぶことのできる非常に有意義な機会となりました。

コロナの影響もありゼミ合宿自体が久しぶりの開催となりましたが、「リアル」でアートを鑑賞する喜びとその意義についてゼミ生一同改めて認識することができました。

また、ゼミ生同士の交流の機会にもなり、親睦を深めることが出来ました。

【文責:正村瞭子、皆尾拓真】

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