【学部】アーティゾン美術館「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」「硲伊之助展」見学

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 2025年4月29日、アーティゾン美術館で開催されていた企画展「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」「硲伊之助展」およびコレクション展を訪れました。

 「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」では、テキスタイルを創作活動の原点とし、直角を多用した幾何学的な造形を好んだトイバー=アルプと、詩から派生した有機的なフォルムに代表されるジャン・アルプの作品の対比から、のちのコラボレーション作品に至るまでの変遷が時系列で紹介されていました。

 また、これまで言及されることの少なかったトイバー=アルプの初期の活動にも焦点を当てており、女性アーティストとして男性中心の前衛芸術の世界で確固たる地位を築くまでの苦労の一端が垣間見えました。

 「硲伊之助展」は、硲の東京では初となる回顧展です。モティーフからタッチまで、マティスやセザンヌの影響を色濃く受けた様子が読み取れ、特に南仏の光を透過するレースカーテンの描写などは一見の価値のあるものでした。また展覧会では、彼の画業のみならず、コレクターとしての一面や、晩年の陶芸作品も紹介されています。

 コレクション展ではアーティゾン美術館のコレクションの核をなす西洋近代美術・日本近代洋画・戦後日本美術に加えて、ザオ・ウーキーの作品群がまとめて紹介されていました。ザオ・ウーキーといえば、鮮やかな色彩と流れるような筆触で広く知られていますが、親交のあったピエール・スーラージュやジョルジュ・マチューなどと共に、西洋の抽象表現主義と東洋の書や墨絵を融合させることを試みた作家のひとりでもあります。本展では、代表的な油彩画以外にも、墨を用いたものとしては比較的初期にあたる1980年制作の作品も展示されており、アーティゾン美術館のコレクションの充実度がうかがえました。

【文責:土田祥ノ介】

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