【学部】ヨックモックミュージアム見学会

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2025年10月18日、青山のヨックモックミュージアムにおいて、展覧会「ピカソ・セラミック―『見立て』の芸術」を見学しました。当見学会は、毎年参加している都市と美術研究所「まちあるきワークショップ」の今年度の調査対象が表参道地区であることに伴い、同ワークショップの初日に実施しました。学芸員の町田つかささんに同館の成り立ちや主要作品について解説いただいた後、各自で作品を鑑賞しました。

ヨックモックミュージアムは、生活を豊かにしてくれる創造的なものであるお菓子と、ピカソの自由な発想を持ったセラミックに類似性を見出し、初代館長の藤縄利康氏がピカソのセラミックを中心に集めたコレクションを展示している美術館です。

最初にB1階の展示室に向かい、陶器の形をフクロウに見立てて制作されたものなど、「見立て」によって作られた作品を見学しました。ピカソの故郷スペインに対する深い思い入れが感じられる、皿全体を闘牛場に見立てて作られた作品も展示されていました。

次に、アクリルケースなどが無く、直接机の上に置かれて展示されているセラミックを鑑賞しました。露出した状態で陶器作品を展示することはとてもリスクが高いことですが、より近くで直接セラミックを感じてほしいとの思いから、このように展示していると伺いました。

そして、B1階の展示室の奥の部分では、新所蔵作品であるピカソの版画ポスターが展示されていました。このポスターは、ヴァローリス村の町おこしとして行われた陶芸展に向けてピカソが年ごとに制作していたもので、工芸を感じさせるデザインと鮮やかな色彩が特徴的でした。

2階の展示室は、B1階の薄暗い展示室とは対照的に、日光が入った明るい空間となっていました。2階には、古代ギリシア・ローマから引き継がれるセラミックという素材と、ピカソの地中海人としての古典文化への関心が組み合わさった作品が多く展示されていました。

全体として、ピカソのセラミックに特化したコレクションを、それぞれの作品の制作背景や表現上の工夫について学びながら見ることができ、多作で知られるピカソの新たな一面を知ることができた貴重な機会となりました。

(文責:田崎里奈)

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